研究概要 |
1.ヒストンの大腸菌発現系を用いてヒストンH2A/H2BおよびH3/H4の各複合体を調製した。H2A/H2BおよびH3/H4の各複合体について、MSで分子イオンを観測するのに適した試料調製法やMSの測定条件の最適化を行った。ピストンH2A/H2BおよびH3/H4の各複合体のPAD4による、シトルリン化についてMSを用いて解析した。H2Aのシトルリン化部位はヘテロ2量体ではN末のフレキシブルな領域であった。またシトルリン化によりヘテロ2量体は安定化することが判った。 2.15N,13C,2Hでラベルしたヒストンを調製しH2A/H2B複合体のTROSY-NMRの測定を行った。H2Aラベル体とH2B非ラベル体の組み合わせとH2A非ラベル体とH2Bラベル体の組み合わせでNMRのシグナルの帰属を試みた。 3.基本転写因子のTFIIEとTFIIHの相互作用に関してはTFIIEのαサブユニットのC末酸性ドメインとTFIIHのp62サブユニットが相互作用する。TFIIEの全長でのTFIIEのαサブユニットのC末酸性ドメイン部分の構造解析を試みた。 4.TRF2の全体構造の解析や2量体形成ドメインをシステインのSS結合でモデル化したN末の塩基性ドメイン2量体でテロメアDNAとの相互作用を解析した。2量体塩基性ドメインは3‘が突出した1本鎖DNA部位と2本鎖DNA部位のジャンクション部位で結合している事が示唆された。 5.転写抑制因子RESTのC末の転写抑制ドメイン(RD2)はZnフィンガーを含んでいて、DNAと相互作用することを見出した。その複合体のNMR測定を行った。 6.HP1のクロモドメインのN末のリン酸化によりヒストンH3K9me化体との結合が強くなることが報告されているが、リン酸化体と非リン酸化体のNMRを測定し構造解析を行った。クロモドメイン部分の構造は同じであることを確認した。
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