研究課題/領域番号 |
20227009
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
西村 善文 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (70107390)
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研究分担者 |
明石 知子 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (10280728)
長土居 有隆 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 助教 (50336591)
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キーワード | NMR / 転写因子 / クロマチン / 動的構造 / 天然変性状態 |
研究概要 |
1. 15N,13C,2Hでラベルしたヒストンを調製しH2A/H2B複合体のTROSY-NMRの測定を行った。H2Aラベル体とH2B非ラベル体の組み合わせとH2A非ラベル体とH2Bラベル体の組み合わせでNMRのシグナルを帰属した。帰属に基づいてH2AとH2Bの2次構造を同定した。結晶解析されているヌクレオソーム中の構造と比較したところH2AのN末とC末のヘリックスはヘテロ2量体では形成されていなかった。またヒストンシャペロンNAP1やMAP2のC末の酸性領域との相互作用をNMRで解析した。ヒストンシャペロンのC末の天然変変性領域がヒストンとの相互作用で重要であることを見出した。 2. ヒストンH2Aを安定同位体でラベルし、H2B、H3、H4は非ラベル体でDNAとの複合体のヌクレオソームを調製し固体NMRの測定を開始した。 3. 基本転写因子のTFIIBの全長でのTFIIEのαサブユニットのC末酸性ドメイン部分の構造をNMRで決定した。その結果フレキシブルなリンカーで結ばれたC末酸性ドメインはドメイン単独の時と同じ構造である事が判った。 4. TRF2の2量体形成ドメインをシステインのSS結合でモデル化した塩基性2量体ドメインでDNAとの相互作用を解析した。2量体塩基性ドメインはでホリデージャンクションDNAと結合することを見出した。 5. Chp1のN末を伸ばしたクロモドメインのH3K9me化ペプチドとの複合体の構造をNMRで決定した。クロモドメインのみの複合体構造と比較してN末に新たなヘリックスの形成が認められた。この複合体構造上にセントロメアの非コードRNA(ncRNA)との結合部位をマップした。その結果クロモドメインのC末酸性領域に加えて、N末の新たなヘリックス領域も相互作用に関与している事を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒストンH2A/H2BとヒストンシャペロンNAP1やNAP2の天然変性領域との相互作用や、HP1やChp1クロモドメインのフレキシブルなN末テイル領域の相互作用における役割や、TRF2のN末の天然変性塩基性ドメインのDNAとの相互作用や、TFIIEの全長での天然変性領域の機能解析等が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒストンH2A/H2Bとヒストンシャペロンの天然変性領域のアミノ酸変異体との相互作用構造、クロモドメインの天然変性領域の欠損変異体やリン酸化体の動的構造、TRF2のN末天然変性領域のアミノ酸変異体のDNAとの動的構造、TFIIEの全長での天然変性領域の動的な相互作用構造を解析を進行していく。
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