研究課題/領域番号 |
20240074
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 博一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70174810)
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研究分担者 |
酒井 徹朗 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (10101247)
後藤 治 工学院大学, 工学部, 教授 (50317343)
能城 修一 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, チーム長 (30343792)
江面 嗣人 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (00461210)
古賀 信也 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20215213)
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キーワード | 木造建造物文化財 / 森林資源 / 天然ヒノキ / 木材流通 / 樹種判定 / 檜皮剥皮実験 / 社寺有林 / 山村コミュニティ |
研究概要 |
日本文化を象徴する木造建造物とその技術を未来に継承するために、文化財建造物の修理に必要な木材や茅などの植物性資材を安定的に確保するための基礎的な要件を明らかにした。これまで資材を使用する修理技術者と供給する森林管理者との間の情報交換が十分でないために、どのような樹木を育てればよいかが森林側に伝えられていなかった。本研究ではその間のギャップを埋めるために多様な視点から調査・実験を行った。具体的には、修理用資材の樹種別数量および品質を明らかにすること。森林資源から見た木材及び植物性資材の供給可能量を明らかにすること。供給側の森林と使用側の建造物を繋ぐための、森林育成のあり方、資材流通システム、木材消費構造について解析すること。文化財建造物修理用資材の使い方について文化財保存の立場から実験と検討を行うことを本研究の課題とした。1)文化財建造物の修理用資材の需要量及び品質に関する調査:富山県、福岡県、山口県で行われている寺院と解体修理を対象に現地調査を実施し、使用部材の規格、品等、数量について調査を行った。文献調査により、過去の修理実績報告書から単位軒面積当たりの樹種別資材量を建造物の種類ごとに算出する。また、同じく文献から長尺大径材の使用量を建造年代別、建造物の種類ごとに調査を行った。 2)使用部材樹種判定システムの開発:文化財建造物の使用樹種をより正確に判定するために、木片の細胞構造を用いた手法による樹種判定技術の開発を進め、微量の試料から富山県、福岡県、大分県で行われている寺院と解体修理を対象に樹種の判定を行った。3)代替材による修理技術の評価:こけら葺きの屋根用資材として資源の枯渇が懸念されているサワラを対象として、スギ人工林材を使用した屋根との比較実験を行った。秋田県、宮崎県で採取したスギ人工林材と埼玉県で採取したサワラ人工林材を用いて実際に屋根を葺き、暴露実験等を行い長期的な劣化程度の評価を開始した。4)修理用資材の供給可能量に関する調査:木曽ヒノキについては天然更新調査と天然木の上部直径の測定による樹幹形評価を行い、現地からの供給可能量の予測を行った。天然ヒノキ材の流通の中心である名古屋地域において流通関係者からの聞き取りによってヒノキ高品位材の流通調査を実施した。5)檜皮剥皮実験:千葉、和歌山、山口、福岡の4地域において設定したヒノキ実験林の経過観察を継続し、剥皮木と対照木の直径と樹高を計測した。6)社寺有林調査:文化財建造物を多く所有する宗教団体を対象として、森林の状況、今後の取り扱いにあたっての考え方、生産される木材と所有する建造物の維持との関係について聞き取り調査を実施した。7)山村地域のコミュニティ調査:群馬県六合地域を対象に集落の聞き取り調査を実施し、地域の伝統的建造物の実態、これらを維持するための地域住民の意識調査を行った。8)ホームページの機能向上:ホームページ開設の主たる目的は、文化財建造物の維持のために修理の立場にある建築家と資材供給の立場にある森林管理者との情報交換の場を提供すること、および文化財建造物の維持のために健全な森林の維持と大径材を使用する社会システム構築が必要であることを社会に訴えること、さらに一般社会からの情報収集にある。このため、本研究ホームページの内容の充実を図った。
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