研究概要 |
本研究の目的は大きく2つあり、第1の目的のために,当初,本年度はパキスタン国内博物館所蔵のガンダーラ彫刻の調査と資料収集を行う予定であったが,本年度交付申請書に記したとおり,パキスタン国内の政情情勢を鑑み,パキスタン国内については,比較的安定しているラホール市のラホール博物館に絞って調査を行った。また、補充調査としてアメリカに所蔵されているガンダーラ彫刻の調査を行った。 すなわち,パキスタンではthe Lahore Museum, Lahore(200点),アメリカ国内では,the Metropolitan Museum of Art, New York,を再訪し,ギャラリーの作例について写真撮影しデータに補完を加えた(2点),またthe American Museum of Natural History, New York(3点),the Cleveland Museum of Art, Cleveland(10点), the Art Institute of Chicago, Chicago(35点), Asian Art Museum of San Francisco, San Francisco(33点), the Los Angeles County Museum of Art, Los Angeles(3点), Pacific Asia Museum,Los Angeles(3点)の以上8博物館で,計289点のガンダーラ彫刻の調査,写真撮影を行った。いずれの博物館も協力的で、以上のうち4館では展示品はもとより収蔵庫のガンダーラ彫刻を詳しく調査することができた(但し,上述8館全て写真の公開に関しては制限がつけられている)。 現在,これらの写真資料と作品データの入力作業を進めている。 本研究の第2の目的である統合的研究に関しては,全体の研究会を4回開催し, 研究分担者3名, ゲストスピーカー7名,及び協力者2名がそれぞれ美術史・考古学・碑文学・仏教学・仏教史の分野から,各自の研究分野に沿った研究発表を行った。研究代表者,研究分担者それぞれの研究成果については「研究発表」の項を参照されたい。さらにガンダーラに焦点を当てつつ,美術史を軸としながら,関連する諸分野の研究を有機的に統合して,研究を深めることが重要で,平成24年度は本研究の最終年度に当たるので,集大成に向けて,その準備を整えた。 本年度は5ヶ年計画の本科研の中間期に当たるので、平成20年度~平成22年度の研究会の実績を中心に中間報告書を作成した。全17回の研究会を開催し、代表者、分担者、協力者、招聘者を含む研究者の研究発表32回分の要旨を収
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