研究課題/領域番号 |
20300262
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
長崎 栄三 静岡大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50141982)
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研究分担者 |
瀬沼 花子 玉川大学, 教育学部, 教授 (30165732)
長尾 篤志 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (00353392)
岩崎 秀樹 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50116539)
太田 伸也 弘前大学, 教育学部, 教授 (50322920)
大谷 実 金沢大学, 人間社会研究域・学校教育系, 教授 (50241758)
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キーワード | 数学的リテラシー / 科学技術リテラシー / 数学教育の目標 / PISA |
研究概要 |
数学的リテラシーについて、第1年次に続き、数学教育学の文献や実践研究の結果をもとに検討した。その結果、数学的リテラシーの構成要素として、モニター・自己評価・コントロールなどのメタ認知能力や、局所的とともに大局的論証能力が注目され、数学的リテラシーを育成する上での、数学の概念理解と能力形成の均衡の必要性、問題解決における予想や比較の重要性が検討された。また、メタ認知研究における質問紙調査法が数学的リテラシーの研究法としても有効であることや、図形指導において、数学的リテラシーを人間形成的・実用的・文化的の3つの教育的価値から考えられることが示された。さらに、算数の授業実践で、数学的リテラシーにつながる意思決定能力や話し合いながら考える力などの算数の力が育成できそうなことが示され、このような従来もあったと思われる授業を数学的リテラシーというより包括的な概念で捉え直して新たな方向性を見出そうとするところに意義があることが確認された。また、人間科学・社会科学の立場から、人間はチンパンジーであるがその社会性に大きな特徴があり、外部記憶装置を持つことも特徴であると説明され、そして、一般の人が人間科学・社会科学のリテラシーを持つとは、自然や人間・社会を時間軸という視座から理解することだと確認された。さらに、数学的リテラシーについて、数学の本質・概念・能力・活用事例からなる4元モデルが提案され、また、日本社会における教養概念の変化について検討された。 これらに基づいて、次年度に向けて、次の6つの視点;数学教育学における数学的リテラシーの概念化、数学的リテラシーの構成要素の構成、個人の生涯の数学的リテラシーのモデルの考案、学校における数学的リテラシーの育成のためのカリキュラムの構成、数学的リテラシーを育成する上での教師のあり方の考察、社会における数学的リテラシー育成の考察、から検討を始めた。
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