本年度においては、6月、9月、12月の3回にわたり、それぞれ東京大学、筑波大学、共立女子大学において連携研究者とともに研究会を実施した。 6月はキックオフの研究会とした。各連携研究者のこれまでの研究歴と本研究における課題の概略について確認して、今年度の研究会スケジュール、海外調査計画、予算等を検討して、研究グループとしての方針を定めた。 9月の研究会には、美術についての受容について若手研究者の話題提供を得た。日中戦争から太平洋戦争までの兵士と絵画表現の問題(河田明久氏・早稲田大学講師)、また明治末から大正にかけて絶大な人気を獲得した竹久夢二の受容(高橋律子氏・金沢21世紀美術館学芸員)について報告をうけ意見を交換した。 12月の研究会においても、若手研究者の話題提供があった。映画が中心的なテーマとなって、まず戦前からの戦後に至る「女性アクション映画」におけるジェンダーの問題(鷲谷花氏・日本学術振興会特別研究員)、さらに1970年代の「アニメ・ブーム」に焦点を当てた受容者意識の変容(木村智哉氏・千葉大学大学院)について、ビデオによる事例紹介を交えた発表を受けて、議論を行った。 本研究は美術史研究者が主力となっているが、音楽、演劇、映画の研究者が参加しており、来年度の研究会活動においても、積極的に各分野の研究者に話題提供を求めて、芸術受容者に関わる問題点を整理することに努めることとした。
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