研究課題/領域番号 |
20330047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菊谷 達弥 京都大学, 経済研究科, 准教授 (80183789)
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研究分担者 |
西村 直子 信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)
小川 一仁 関西大学, 社会学部, 准教授 (50405487)
齋藤 隆志 九州国際大学, 経済学部, 准教授 (60437283)
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キーワード | 成果主義的賃金制度 / マルチ・タスク / 質問票調査 / 経済実験 / 経済事情 |
研究概要 |
研究の2つの柱のうち、質問票調査に関しては、成果主義研究の集大成として「人事評価(考課)と評価の活用法に関するアンケート調査」と題する大規模な調査を実施した。上場企業のすべてと、サンプリングした非上場企業を合わせて7000社を送付対象とし、約1650社から回答を得た。これによれば、社員を格付ける等級制度について、依然として職能資格制度の採用が一般社員と管理職の双方で最も多いが、分布には差があり、管理職では、職務等級制度と役割等級制度が比較的多い。評価制度については、管理職では、結果としての業績の評価に比べて、仕事を進めるプロセス、あるいはその過程で発揮される能力を評価する行動・コンピテンシー評価、およびいわゆる情意評価の採用は有意に少ない。ただし評価指標の利用方法自体は一般社員と管理職では差がほとんどなく、成果主義に対応する業績評価は賞与決定に反映される場合が圧倒的に多く、行動・コンピテンシー評価は主に昇給・昇進に用いられる。これらは、狭い意味での成果主義賃金は限定的にしか用いられないことを意味すると同時に、短期インセンティブと長期インセンティブがうまく組み合わされていることを示す。 研究のもう1つの柱である経済実験に関しては、マルチタスク状況下における賃金制度設計に関する基礎的理論枠組みを完成させ、そのベースモデルに基づいて被験者実験を行った(於信州大学経済実験室)。自分の仕事への努力投入と、チーム内の他メンバーを助ける努力投入の両方が要求されるという状況下で,異なる賃金制度のもとでは労働者の努力投入選択がどのように違うかを実験によって検証した。成果主義賃金とそれと異なるボーナス制賃金の間で努力投入量に有意な差があるだけでなく,同じ賃金制度においても共同作業の相手が固定的か否かで有意な差が観察された。
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