研究課題/領域番号 |
20330075
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
加藤 慶一郎 流通科学大学, 商学部, 教授 (60267862)
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研究分担者 |
岩橋 勝 松山大学, 経済学部, 教授 (20069321)
名城 邦夫 名古屋学院大学, 経済学部, 教授 (90097684)
城山 智子 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (60281763)
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 准教授 (10412420)
浦長瀬 隆 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80176742)
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キーワード | 決済 / 比較史 / 貨幣 / 重層性 / 多様性 |
研究概要 |
方法論については、彼我の類似点に注目する比較史の方向性を見出すにいたった。これは日本中世史家の藤木久志氏と西洋中世経済史家の森本芳樹氏がともに唱えるもので、本研究ではこれらから大きな示唆を受けた。具体的には、従来のように単線的で画一的な発展段階論に基づいて相互の相違に着目するものではなく、より柔軟な時代認識をもって、まず類似点に注目して事例を選択するものである。本研究でも「決済」、あるいは「貨幣の重層性」や「貨幣の多様性」、「建値通貨と決済通貨の分離」といった視点から、さまざまな時代・地域の事例を取り上げ、それらの類似点に着目することで日本近代移行期の貨幣史をめぐる議論の深化を図る糸口をつかめたと考えている。 実証研究に関して、近世~近代移行期日本については、地方商家文書の解析が進すすんだ結果、当該期において「宝貨錯乱」と呼ばれるような、通貨の重層性・多様性が進行する中で、建値通貨と決済通貨の分離が進行しつつあったことと、それと同時に総体として近世的な通貨制度が明治初年において終焉を迎えるに至った時期とその態様の一端をつかむことができた。また外国の事例では、西アジア、西ヨーロッパ、中国における建値通貨と決済通貨の分離がある局面で進行することが、いくつかの事例を通じて確認できた。 研究成果の発表については、社会経済史学会全国大会(5月)と日本金融学会秋季大会(9月)において、それぞれ近代移行期日本の地方商家の決済をめぐる事例を軸にしつつ、西アジア、西ヨーロッパ、中国の事例との比較をテーマとしたパネルディスカッションを組織した。
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