研究課題/領域番号 |
20330086
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研究機関 | 作新学院大学 |
研究代表者 |
櫻井 秀子 作新学院大学, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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研究分担者 |
高久保 豊 日本大学, 商学部, 教授 (20246804)
潜道 文子 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (60277754)
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20325559)
木村 有里 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (40381652)
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キーワード | 経営学 / イスラーム経営 / 中国経営 / 異文化経営 / アジア経営 / 経済事情 / 経営倫理 / コンプライアンス |
研究概要 |
本研究は、アジアにおける関係型ダイバーシティ・マネジメントの実態を、理論と現場調査の両面から実証的に研究することを主な目的とするが、本年度は2回にわたる研究会において、イスラーム的経営と儒教的経営の特性について検討を行った。<第1回研究会(7月12日)「イスラーム的経営の特性(櫻井報告)」、第2回研究会(11月30日)「中国の伝統と改革(高久保報告)」>。櫻井はイスラーム法を中心に、高久保は儒法を中心に経営理論を検討した。その結果、西アジア、東アジアの経営基盤には「関係型ダイバーシティ・マネジメント」を繰り出すアナログ的な関係型ネットワークが、歴史的、文化的、法的に存在することが確認された。他方、現地調査の観点より、イラン、トルコにおいて現地調査を行い、モスクと市場が不可分に立地している状況を調査した。特にワクフとして寄進された土地にスーパーマーケットなどの商業施設が建てられ、その上層にモスクが建設させている現代的形態についても調査した。櫻井は、シャリーアにもとづくイスラーム経営の一形態としてのイスラーム金融についての研究を図書として発表した。そこでは、交換に一元化される市場ではなく、贈与と交換が混交する市場をイスラーム的市場の特性とみなし、そのバランスをとることがイスラーム的経営の特性である点を理論的に明らかにした。 本研究の意義は、交換に一元化した市場の限界を提示する一方、外部経済を内部化し、倫理的に市場に再構成する方向性を示すことにより、一企業体ではなく社会全体としての利潤が最大化される経営の形態として、関係型ダイバーシティ・マネジメントが有益である点が検討されている点である。この観点は、実体的経済から遊離した経営手法によって壊滅的打撃を受けているグローバル経済の再生の方向に対しても示唆を与えるものである。
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