研究概要 |
グラフ理論において,多くの重要なグラフの族,例えば平面グラフやシリーズパラレルグラフなどは,禁止マイナーによって特徴づけされる.アルゴリズム的側面から見ても,与えられたグラフがそのようなグラフの族に属するかどうかは多項式時間で判定できる,という意味において比較的扱いやすいグラフの族と言える.実際,平面グラフをはじめとして,特定の閉曲面に埋め込まれるグラフについての理論は,位相幾何学的グラフ理論の名において,多くの研究がなされている.本研究では,禁止マイナーの観点からは従来あまり研究されていなかった,閉路問題,全域木問題,因子問題に焦点を当て,単純な禁止マイナーによって特徴付けられるグラフの部分構造について解明することを目的とする. このような研究の新たな方向として,平面グラフで培われてきた理論を,K_<3,3>をマイナーとしてもたないグラフの理論として,平面性を使わない手法の構築を行う.その上で,K_<3,3>を一般の完全2部グラフに置き換えることにより,平面グラフの理論の一般化を試みる,また,閉路問題,因子問題においては一般的となっている,禁止部分グラフに関する条件や次数条件を見直すことにより,禁止マイナーに次数条件を組み合わせた条件下での閉路・因子の存在について研究を行う.
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