研究課題/領域番号 |
20340025
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾畑 伸明 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10169360)
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研究分担者 |
日合 文雄 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30092571)
浦川 肇 東北大学, 国際教育院, 教授 (50022679)
鈴木 香奈子 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (10451519)
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キーワード | 量子確率論 / ホワイトノイズ解析 / 無限次元解析 / 複雑ネットワーク / 直交多項式 / 確率解析 / フーリエ・ガウス変換 / 量子中心極限定理 |
研究概要 |
量子確率論をめぐる解析的側面(量子ホワイトノイズ解析)と代数的側面(スペクトルグラフ理論における量子確率論的手法)をより高いレベルで融合し、新しい展開を目指すことを目的としている。以下、重点3項,目について成果を述べる。(1)量子ホワイトノイズ方程式:正準交換関係の変換問題を新しいタイプのホワイトノイズ微分方程式に帰着することで、従来のユニタリ同型問題に別証明を与えただけでなく、非ユニタリ変換への道筋をつけることができた。これによって、ボゴリューボフ変換やギルサノフ変換をフーリエ・ガウス変換の枠組みで統一的に扱うことが可能となった。ユニタリ化問題について継続研究中である。(2)非ガウス型量子確率過程:相互作用フォック空間の多モード化の観点から具体例の蓄積を続けた。星形グラフ上のランダムウォークに対して、グラフの頂点を添字とする直交多項式系を構成して、ランダム・ウォークの推移確率の積分表示を与えた。ランダム行列と自由エントロピーを基礎として、自由確率論と関連する行列解析を包括的に研究した。ある種の反応拡散系におけるパターン形成とその安定性を決定し、ノイズの導入について検討を始めた。(3)成長グラフの漸近的スペクトル解析:量子確率論における独立性の諸概念とグラフの構造の関連を一般化し、複雑なグラフを小さなグラフの「合成」として扱うための新しい「グラフ積」を導入した。特に、典型的な4つのグラフ積とQ行列の正値性との関連を明らかにした。ハミンググラクの距離行列の漸近的スペクトルとして新しい分布を導出し、ヤンググラフとの関連を探った。上記の研究課題に関わる内外の研究者を招聘して、第10回仙台ワークショップを12月に開催した。多くの研究集会で成果を発奉するとともに問題点を議論して、次年度につながる方向性を探った。
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