研究概要 |
マントルと地殻とのオスミウム(Os)同位体比のコントラストは非常に大きいため,島弧火山岩のOs同位体は沈み込むスラブからの物質のリサイクルを検証するトレーサーとして非常に有効である。しかしながら,マグマ上昇過程での地殻物質の同化作用によって初生マグマのOs同位体はマスクされ,多くの場合に噴出時には初生情報を失ってしまう。そのため,Os同位体の島弧プロセスの解明への応用は進んでいない。 本研究では日本列島とその周辺の島弧火山岩から,マグマの分別過程の初期に結晶化し,Osが濃集するクロマイトを分離し,そのOs同位体を分析することで,始源的島弧マグマのOs同位体組成を決める。それによって,スラブ物質から島弧マグマに寄与する例と寄与しない例を明確にし,スラブ物質の島弧マグマへのフラックスを正確に計算し,島弧での物質循環モデルを確立する。
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