ゴーシェ病の中枢神経系症状の治療法開発を目的として、脳内へ移行可能な低分子化合物で、変異したβ-グルコシダーゼ(GBA)を活性化できる化合物の開発と臨床応用を目的としている(ケミカルシャペロン療法の開発)。これまでに、N-octyl-β-valienamine(NOV)が培養細胞レベルで、F231I、 N188S、 G202R、 N370S変異を活性化することを見出した。今年度、正常マウスにNOVを経口投与した時、1週間の投与で明らかな毒性なく、脳を含む組織に移行し、正常のGBA活性を増加させることを明らかにした。動物レベルでの治療効果の確認のためにはF213I変異など、NOVで活性化させる変異を持つマウスの作成が必要であり、GBAノックアウトマウスへF213Iの導入を試みてきたが現在まで、マウスの作成には成功していない。一方、NOV以外の化合物のスクリーニングをスペインのセビリア研究所と共同で行い、二環系SP^2-アザ糖がNOV同様にF231I、 N188S、 G202R、 N370S変異を活性化することを見出し、スペイン国内特許を請願した(P200802988)。
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