研究概要 |
2004年我々はF213I変異を持つゴーシェ病患者線維芽線維芽細胞のβ-glucocerebrosidase (β-Glu)の活性がN-octyl-β-valienamine (NOV)存在下で安定化し、ライソゾーム内の酵素蛋白量を増加させ、蓄積物質であるグルコシルセラミドを減少させ、変異酵素を活性化させるシャペロンとなることを見出した。その後、2007年にはNOVはβ-Gluの活性部位のN188S、G202R、F213I、G202R、N370S変異の活性を上昇させることを確認し、2010(Luan Z, et al.Blood Cell Mol Dis, 2010 ; Luan Z, et al., Brain Dev 2010)にはR120Wも活性が増強されること、正常マウスの脳の活性を挙げることを確認した。しかしNOVはその供給に限界があり、2010年(Luan Z, et al.Chembiochem 2010)にはスペインのグループとの共同で、二環型糖化合物が同じ様にシャペロン活性を有することを明らかにした。これらの低分子化合物は現在まで有効な治療法のないゴーシェ病の中枢神経症状に有効である可能性がある。カナダのグループは去痰剤ムコソルバンとして市販されているAmbroxolの中枢神経系への有効性を確認するためN188S変異を持つ進行性ミオクローヌスてんかんの症状を有するゴーシェ病患者への投与を開始して中枢神経系症状への効果の確認を行っている。
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