研究課題/領域番号 |
20390511
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40242440)
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研究分担者 |
藤原 直士 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70181419)
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
塚田 博子 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30464019)
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キーワード | GABAA receptor / γ2 subunit / nociception / trigeminal / PRIP-1 / PRIP-2 / double knock out / subnucleus caudalis |
研究概要 |
本年度はGABA_A受容体に対する三叉神経系に加えられた侵害刺激が三叉神経脊髄路核尾側亜核での伝達で抑制されるか否かについて、GABA_A受容体形成系を傷害する遺伝子改変動物を用いて検討した。 (麻酔薬イソフルランの抗侵害作用におけるGABA_A受容体の機能) DKOマウスのポリメラーゼ連鎖反応ではPRIP-1,PRIP-2遺伝子がノックアウトされていることが証明された。また脊髄の免疫組織化学的検討ではGABA_A受容体γ2サブユニットはWild typeでは脊髄後角浅層・深層の細胞膜上に認められたが、DKOマウスでは消失していた。一方β2サブユニットでは分布頻度は両群で差はなかったが、α1とβ3サブユニットはDKOでは増加していた。イソフルランMACのWildマウスとDKOマウスではそれぞれ1.36±0.04(n=10)と1.07±0.01%(n=10)であり、DKOマウスの方が有意に低かった(Student t-test,p<0.001)。したがってγ2サブユニットの消失は他のサブユニットの代償性増加を誘導し、イソフルランはそれに対して作用したためにMACが減少したことが示唆されていた。したがって脊髄後角においてイソフルランによる逃避反射の抑制にはGABA_A受容体γ2サブユニットは影響しない。 (三叉神経への侵害刺激による脊髄路核尾側亜核の反応) マウスの延髄スライス標本をRH-414またはRhod-2に染色して、求心路であるTractを電気刺激して三叉神経脊髄路核尾側亜核の膜電位変化と細胞内カルシウム濃度変化を測定した。GABA_A受容体agonistであるムシモールは膜電位興奮の伝搬を抑制しなかった。また細胞内カルシウム濃度変化をWild miceとDKO間で比較したところ、両群間に差は認められなかった。 以上の結果より、一次ニューロンのシナプス伝搬においてGABA_A受容体の抗侵害作用は正常では明らかではないことが示唆された。
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