研究課題/領域番号 |
20390533
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
川口 陽子 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (20126220)
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研究分担者 |
成相 直 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (00228090)
品田 佳世子 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 講師 (60251542)
植野 正之 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 助教 (70401388)
遠藤 圭子 東京医科歯科大学, 歯学部, 准教授 (70270915)
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キーワード | 専門的口腔ケア / 口腔管理システム / 入院患者 / 脳神経外科 |
研究概要 |
東京医科歯科大学医学部附属病院救急外来を受診し、救急病棟に入院した後、脳神経外科病棟に転棟した入院患者44名に対し、口腔診査を実施した。その後、患者を看護師による口腔ケアを1日1回行う対照群21名(男性12名、女性9名)と、看護師による口腔ケアに加えて歯科衛生士による専門的口腔ケアを行う介入群23名(男性17名、女性6名)の2群に無作為に分け、口腔ケアを実施した。4週間後あるいは退院前に初回時と同様な調査を行い、全身状態や口腔保健状況の変化を比較した。 対象者の平均年齢は介入群55.7歳、対照群62.6歳で、両群間に有意な差は認められなかった。両群とも患者の主病名としてはクモ膜下出血が最も多く、次に頭部外傷、脳内出血であった。主病名をはじめ患者基礎情報において、介入群と対照群の間に有意な差は認められなかった。 しかし、初回と2回目の診査時の口腔保健状況の変化を比較したところ、平均歯周ポケット深さは、介入群では2.8mmから2.5mmへ、対照群では2.9mmから2.7mmへと共に有意に改善していた。歯周ポケット4mm以上の歯の割合も介入群が22.3%から10.2%へ、対照群が22.4%から16.7%へと改善していた。また、歯肉出血(BOP)に関して、介入群は19.7%から6.3%へと有意に低下したのに対し、対照群は14.2%から11.6%と低下したが、有意ではなかった。 また口腔清掃状況(OHI)は、介入群では1.3から0.7へと有意に低下していたのに対し、対照群では1.1から0.9へと低下はしたが、有意な差は認められなかった。自然開口量は介入群では17.3mmから26.6mmへと有意に増加していた。しかし、対照群では22.7mmから27.8mmへと増加は示したが、その差は有意差ではなかった。 以上より、脳神経外科病棟入院患者に対して通常の看護師による口腔ケアに加えて歯科衛生士が専門的口腔ケアを行うと、口腔内の状態がより良好になり、誤嚥性肺炎などの予防や患者のQOL向上、口腔機能向上としての効果も期待できると考察された。
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