研究課題/領域番号 |
20405045
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 哲男 名古屋大学, 農学国際教育協力研究センター, 教授 (30313977)
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研究分担者 |
前多 敬一郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30181580)
山内 章 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30230303)
西村 美彦 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (10301219)
西川 芳昭 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (80290641)
伊藤 香純 名古屋大学, 農学国際教育協力研究センター, 准教授 (10467334)
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キーワード | 国際協力 / 農産物加工 / 農村開発 / 一村一品 / カンボジア |
研究概要 |
カンボジア農村における農産物加工業の予備調査を5月に行った。その結果、対象加工業を米蒸留酒に絞りその課題点と改善点について、9月首都プノンペンに近いタケオ州内6コミューン166軒の酒造農家を対象にアンケート調査を行い、134の有効回答を得た。酒の販売価格が低く利益を得ることが難く薄利な経営状態にあること、酒の品質が低いことが価格の上昇を阻んでいることが明らかになった。酒造経営改善のためには、市場ニーズにあった品質改善により付加価値をつけ、販売能力を強化することが必要であると考えられた。そこで、タケオ州トラムコック郡タトエム村で酒造農家を一軒選び、協力を要請して敷地内に試験用の酒造設備一式を設置し、この設備を用いて11月から1ヶ月半、現地の酒造方法を基礎に工程の改良を行い、品質改善試験を繰り返した。一方、11月中旬プノンペン市内で行われた水祭りを利用し、カンボジア米蒸留酒に対する消費者の印象や消費動向を把握し、品質の改善点を探ることを目的に、インタビュー調査を実施し、232名から回答を得た。甘さや芳香が感じられるのを良い米蒸留酒と評価し、米蒸留酒を嫌う理由は苦味や刺激、嫌な匂いがするからとか工業用アルコールが混入されている可能性が挙げられた。これらの結果を基に、酒造工程の改良を重ね、12月初旬に試作品を完成させた。この試作品をカンボジア政府が12月15日からプノンペンで主催した一州一品展示会に出展し、試飲会とアンケート調査を実施し、446名の回答を得た。回答者の60%以上が試作品を一般農家の米蒸留酒より良いと評価した。商品化についても65%以上が高い可能性を支持した。品質改良は今後も必要であるが、商品化の可能性に大きく道を開くことができた。この成果を平成22年度の学会で報告する予定である。
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