1大阪国際児童文学館および国際子ども図書館、国立国会図書館で関係する叢書類の資料調査と資料収集を行った。(1)大阪の館の将来に危ぶまれる点があり、この館の資料調査に重点をおいた。まず着目した創元社「世界少年少女文学全集」に関して想定以上の資料と遭遇した。比較対照される講談社「少年少女世界文学全集」とあわせ、月報その他を中心に、発信者・受信者双方の読書をめぐる意識が浮かび上がるような資料の収集を行った。(2)国際子ども図書館と国立国会図書館収蔵の「少年少女」向け叢轟類の概括調査をし、創元社版など個別の叢書本体のみならず月報などの関連資料について、調査を行った。 (2)国際子ども図書館と国立国会図書館収蔵の「少年少女」向け叢書類の概括調査をし、創元社版など個別の叢書本体のみならず月報などの関連資料について、調査を行った。2創元社の叢書については、「少年少女」が戦後の状況の中で新たに区切られた対象であったこと、「家庭」と「学校」の二つの享受の場の両立、発信者側を含めた三者にによる子ども読者の「読書」への期待、発信者側が「教養」の「形成」を念頭においていたこと、子ども読者もそれと連動した「読書」観を抱いていたこと、当時の読書指導との関連があることなどが明らかとなってきた。 3購入した論集その他の資料からは1950-60年代の児童文学状況における広汎な「少年少女」読者に対する意識の成立、戦前の芸術的雑誌『赤い鳥』掲載作品との相違、近年の「名作」紹介の実態が少し見えてきた。これらについて、また「教養」をめぐる状況把握に関しては、引き続き検討をしていく。
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