本年度は研究期間の2年目に当たる。以下の3つを計画し、実施した。 1. 近世以降の副助詞研究の歴史を概観する。 2. とりたて研究と副助詞研究の比較を行う。 3. 上代の副助詞の用例を採集・整理し、分析に着手する。 1については、近世の富士谷成章の著作『あゆひ抄』を分析し、そこから成章の副助詞観を読み取った。その副助詞観は現代の副助詞研究にとっても示唆に富んでいる。この成果は次の雑誌論文として公刊した。 雑誌論文「『あゆひ抄』の副助詞研究」(東京大学『国語と国文学』87-1、2010年1月) なお、この成果は、次年度行う中世の副助詞研究を概観する研究に繋がる。2については、1と関連しつつ、近代以降の副助詞研究(山田孝雄・森重敏の著作)の検討を進めた。平行して、現代語のとりたて研究における基礎概念についても分析を進めた。これらの作業は次年度も継続して行う。3については、万葉集の「より」「ゆり」「よ」「ゆ」の用例の確認作業を行った。正訓字の問題があるため、予想以上に時間がかかり、次年度も引き続き行う。
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