(1)本研究は、古代日本語における副助詞について、その形成の歴史の一端を明らかにすることを目的とする。具体的には大きく2つの柱を立てる。 (2)1つは、古代語のヨリ類(「より」「ゆり」「よ」「ゆ」という4つの語形がある)について考察し、中古における副助詞の体系がどのように構築されたかを明らかにすることである。これは文法変化を観察する、日本語史に属する研究課題である。 (3)もう1つは、そもそも「副助詞」がどのように捉えられ研究されてきたかを中世に遡って、現代まで通史的に考察することである。これは研究の視点・方法を検証する、日本語学史に属する研究課題である。 (4)上記の2つは関連している。現代語研究では、「副助詞研究」と競合する「とりたて研究」という立場があるが、本研究のように副助詞研究の立場に立つことによって可能となる分析がある。それに基づいてヨリ類の歴史を描こうとする。 (5)個別的な対象としてヨリ類を選んでいるが、この背景には他の副助詞についての本研究代表者による研究蓄積があり、それを踏まえて体系的に考察を行う。
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