研究概要 |
本年度は、東北各地で活動した宣教師について、メソジスト派宣教師文書を解読することで、活動内容を項目別に整理した。 また、前年度のアメリカ、インディアナ州グリーンキャッスルのデポー大学資料館(Roy. O. West Library, Archives &Special Collection)における調査で収集した資料の解読を行った。これは明治初期、同大学に留学した学生たちに関わる資料が中心で、調査対象人物たちが所属していたLiterary Society(Platonian Societyおよび、Philological Society)の活動記録、ジョン・イングと彼の教え子である留学生珍田捨己、那須泉が所属したFraternity(Delta Kappa Epsilon Psi Phi Chapter)の直筆資料などである。 以上に加えて、同大学所在地のローカル新聞であるグリーンキャッスルバンナー紙のマイクロフィルムの中から、関係資料を精査する作業を継続的に行った。これらの史料は、明治初期の地方と地方との草の根的な日米交流の姿を明らかにするものと考えている。 渡米調査(イリノイ州ベントンなど)を行った。延期した主な理由は調査先の事情による。その結果、本研究において中心的存在だった宣教師ジョン・イングの直系子孫を見いだすことができ、インタビューも行った。イングは津軽地方の近代化に影響を及ぼした宣教師だが、子孫の存在はこれまで知られていなかったもので、イング晩年の様子も含めて、さまざまな情報を得ることができた。これらの成果は今後、イングの他の史料とあわせて、人物研究を中心とした評伝の形でまとめていきたいと考えている。 また、本年度の調査では、上記のイリノイ州調査の他、プリンストン大学に所蔵されている、アーサー・コリンズ・マックレー関係資料調査も行った。マックレーが1886年に著したA Budget of Letters from Japan : Reminiscences of Work and Travel in Japan, A. C. Armstrong & Son, 1886.に関連する資料を収集した。
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