本研究の目的は、民法の条文および判例・通説において認められている契約解除権の要件たる解除原因を分析し、そこから各解除原因に共通する要素を析出し、契約解除法に通底する根本思想を見出すことである。このような目的を達成するため、平成20年度は、次の手順で研究を進めた。 平成20年度は、本研究の初年度であるため、まず、研究対象に関する日本法およびドイツ法についての基礎的な文献を収集することを主に行った。 具体的には、第1に、所属機関である大阪大学に所蔵されている文献から、契約解除原因に関する記述を含む体系書、注釈書、債務不履行や契約解除が問題となった裁判例、関連する研究書、雑誌論文、判例評釈等の資料を検索、収集した。第2に、大阪大学にて入手した文献の引用や、データベース等から、大阪大学に所蔵されていない文献をリストアップし、国内の研究機関等の所蔵状況、貸出または複写の可能性について調査を行った。第3に、国内の研究機関等において入手可能な文献については、貸出または複写の手続をとり入手した。この作業のため、平成20年10月および平成21年1月に国内出張を行った。また、新刊として入手可能な書籍(日本法、ドイツ法とも)を整備した。他方、国内の研究機関等において入手が不可能またはきわめて困難な文献のうち、ドイツ債務法に関する文献については、平成20年8月にドイツに赴き、収集を行った。 以上のようにして入手した基礎的文献を精読し、わが国における契約解除法の基礎的な考え、およびドイツ法における契約解除法の淵源および2002年改正以前の法制度の概要について把握し、整理を行った。
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