平成22年度は、本研究の最終年度となる。このため、おおむね当初の研究計画に沿って、残された文献調査を進めると同時に、調査結果を論文にまとめる作業を行った。具体的には、次のとおりである。 前年度までに収集した文献を精査する一方、調査結果をまとめた論文の執筆に着手した。その過程において、なお調査を要する事項が生じたため、これらについて補充的に文献を収集し、精査をした。このうち、国内の研究機関等において入手が不可能またはきわめて困難な外国法文献については、平成22年8月にドイツに赴き、収集を行った。 また、本研究を進める中で、わが国における債権法改正の基本方針が公表された(平成21年10月)。その後、法制審議会において本格的な改正作業が開始された(平成21年11月以降、現在も進行中)。この改正作業は本研究と密接に関わるため、これに応接するため、関連する文献の収集を行った。 このようにして入手した文献を精査し、論文を執筆した。内容的には、わが国における解除規定の問題点を指摘したうえで、これを解消するため、外国法規範であるウィーン国連売買条約、ドイツ民法における議論の状況を起草過程にさかのぼって整理し、これを踏まえて、わが国の解釈論ないし立法論に対してどのような示唆が得られるかを整理し、今後の望ましい方向性について考察を行ったものである。さらに、現在進行中のわが国における債権法改正につき出された代表的な三つの改正提案についても検討を行った。なお、以上の研究成果たる論文は、平成23年度中に公表する予定である。
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