本研究では、先行研究に係る批判的検討に基づき、まずわが国の病院において安全確保のために投入されている費用(予防的投入コスト)の内訳費目や内容を体系的に整理するとともに、事例研究として、規模や機能の異なる調査対象病院(但し、急性期医療が中心)に対し、個々の関連費用の積み上げによる詳細な実態調査を実施し、予防的投入コストの全体像を明らかにすることが出来た。そのうえで、医療安全管理活動にどの程度の予算や資源を投入することが妥当であるか、わが国の実情にあった、実行可能で一般性のある費用算定に関する方法論の確立についての検討を行い、その結果、医療安全管理人件費を基礎に、病院の予防的投入コストの金額推計が可能となりうることが示唆された。
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