ベトナムの平地農村(特に紅河デルタ)や日本の伝統的な農村では、村落が、自分たちの土地管理機能や生活の互助機能を持っていたことが知られている。これらの機能は、インフラ整備が遅れがちな山村地帯では、現在でも重要な意味をもっている。この研究では、上記のような問題意識にのっとって、ベトナムの山村をとりあげ、彼らが現在どのような生活問題に直面しているかについて、移住や集落成立の歴史もふまえて調査を行った。30年ほど前までは焼畑を生業としてきた調査村の人々は、定住生活確立後も、民族としての習慣(言語や儀式など)は守る一方で、土地の管理、集住に伴う衛生管理に関しては、コミュニティで管理する習慣を持ってこなかった。しかし、現在、衛生(トイレや廃棄物)については、灌漑や職の問題と並んで、大きな問題であると認識されている。現在、村の生活実態、廃棄行動についてデータをまとめたところである。今度、文献もふまえてこれらのデータの関連性について考察していく必要がある。
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