研究概要 |
平成21年度の計画に従い、特別養護老人ホームで看取りに関わる看護・福祉・介護専門職者を対象とした死生観教育を実施した。参加者は、大阪社会福祉協議会老人施設部会に所属する施設(約400施設)で看取り経験をしている福祉専門職者で施設長から推薦された40名。平成22年1月から2月かけて3回(3日間)計15時間の研修を実施し、効果測定を行った。測定に用いられた死生観尺度は、「死の恐怖」「積極的受容」「中立的受容」「回避的受容」の4領域を測定するものであり、教育の効果として「死の恐怖」得点の減少、「積極的受容」得点増加、「中立的受容」得点は変化なし、「回避的受容」得点の減少が期待された。 研修の前後で4領域の得点の平均値に差があるかどうか検討するために、t検定を行った。結果は次の通り。「死の恐怖」(平均値の差=-3,t(70)=2.736, p=.008)「積極的受容」(平均値の差=2,t(70)=3.334,p=.001)「中立的受容」(平均値の差=.285,t(72)=.495,p=.622)「回避的受容」(平均値の差=.510,t(72)=.557,p=.579)。死生観教育の効果として期待された「死の恐怖」「積極的受容」については有意差が確認されたが、「中立的受容」「回避的受容」については有意差が確認されなかった。「中立的受容」と「回避的受容」の両尺度については開発段階より信頼性が乏しいとされ、今後の効果測定から除外することも検討する必要があると考える。
|