研究概要 |
地域の美術・博物館の知的財産を活用した鑑賞学習の実践モデルの開発と体系化を目的に,初年度は鑑賞学習の理念と課題の解明に取り組んだ。以下,その内容と成果について記述する。 1. 国内外の美術・博物館と学校の連携活動の先行事例調査による鑑賞学習の理念や課題の把握 文献調査と並行して次の美術・博物館や学校訪問による実地調査を実施した:京都国立近代美術館,京都国立博物館,東京国立博物館,金沢21世紀美術館,ニューヨーク近代美術館(MoMA),アメリカ自然史博物館,ナイティンゲール=バンフォードスクール(私学)等(施設調査,意見・情報交換,資料収集,ワークショップ・授業参観等)。特に,ナイチンゲールスクールにおけるA.トニン氏による移民博物館学習の事前授業では,学校と博物館の連携現場に直接立ち会い,実践上の知見が多々得られた。MoMAでは,子ども〜一般成人を対象とする各種ワークショップやギャラリートークに,自然史博物館では来館者の興味を誘う展示に接し,生涯学習の視点に重要な示唆を得た。 2. 公開討論,美術館の展示企画,研究発表の実施等による内外知見の交流と深化 (1) シンポ「子どもの鑑賞と美術館」京都国立近代美術館,平20.8.10,M.フルコヴァ博士(カレル大)ほか招聘。同「鑑賞教育学びの射程」InSEA世界大会・大阪,平20.8.6,フルコヴァ博士ほか。口頭発表「美術館コレクションと子ども:大学院生と美術館の協働による子どものための京近美コレクション展」同大会,平20.8.8.により意見交換,情報交換が進展。 (2) 子ども向け企画展示の試行:「書くことと描くことの間:京近美コレクションと子どもたちの出会い展」京都国立近代美術館,平20.7.23〜9.7.鑑賞実践の試行(小中3校)と検討。
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