研究概要 |
本研究の目的は,道徳的判断を適切に下すうえで不可欠な非単調的な推論を行う思考力を高めるプログラムを構想することにある。そして,世の中には多様なものの見方や価値観があってよいということが,どのような価値観をもってもよいということを意味するわけではなく,いったん特定の前提を採用したときに許容されるものの見方や価値観は限られてくるということの十分な理解を通じて,責任感のある人材を育成しようとするものである。 そうした目的のため,平成20年度は,主として次のような取り組みに従事した。 1.わたしたちの日常の道徳的推論が,典型的な非単調的推論であるという観点に立ち,研究分担者である新茂之氏とのあいだで,道徳教材開発のためのモデル作成に向けての打ち合わせを数回行った。 2.非単調的推論としての道徳的判断というものや,道徳的判断力を養うための教育的かかわりに関係すると思われる資料を収集し,モデル作成上のヴィジョンを形づくるのに役立てている。 3.ボストン大学附属センターの推薦に基づき,道徳教育の権威である現職教員を招聘し,道徳教材作成のための助言,ならびに本研究計画を成功させるうえでの必要事項を指摘していただいた。それとともに,アメリカにおける道徳教育の現状に関しても情報提供していただいた。 4.道徳教材の作成のうえでの留意点などを確認するため,岡山県下の小・中学校の先生に出張いただき,意見交換の機会をつくった。
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