多重ベルヌーイ多項式、荒川-金子ゼータ関数、および標数正のデデキント和の研究を行った。荒川-金子は、多重ゼータ値と多重ベルヌーイ数との関係を明らかにするために新しいタイプのゼータ(荒川-金子ゼータ関数)を導入した。A.Bayadと共同研究を行い、多重ベルヌーイ多項式、フルビッツ型の荒川-金子ゼータを導入してそれらの性質を調べた。この結果は、Kyushu Journal of Mathematicsに論文として発表された。引き続き共同研究を行い、我々の多重ベルヌーイ多項式、ゼータ関数を2種類のタイプに拡張してその性質を研究した。得られた結果は、ベルヌーイ多項式、ゼータ関数のもつ結果を一般化したものであり、様々な応用が期待できる。研究成果の一部は、平成22年10月に京都大学で開催された解析数論研究集会で公表された。次にデデキント和の研究成果について述べる。デデキント和は、デデキントのエータ関数の変換公式を記述するためにデデキントによって導入されて以来、数学の諸分野で利用されている。このデデキント和は、ザギエによって高次元化され、高次元多様体、格子点の研究に応用されている。平成20年度から標数正のデデキント和を研究してきた。我々は標数正の高次元デデキント和を導入して、相互法則、有理性、クノップ恒等式を証明した。さらに一般化高次元デデキント和の導入、およびL関数の特殊値の記述を行った。
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