研究概要 |
ピカール曲線族と呼ばれる種数3の平面4次曲線の2-パラメータ族を考察し,これらの4次曲線のワイエルシュトラス点の分布をモジュライ空間において詳細に研究した.この曲線族のモジユライ空間は,パラメータ空間を作用する4次の対称群で割った商空間になり,不変式を求めることにより,具体的な記述が可能である.実際,モジュライ'空間は射影平面における尖点3次曲線の補空間になる。 この曲線族の4次曲線のワイエルシュトラス点で重複度が2のものの個数は1,4,7の3通りであり,個数が4以上の曲線はパラメータ空間では次数1,8の曲線を構成している(川崎真澄氏)。「上記軟対称群の作用を詳しく調べることにより、この曲線のモジュライ空間上における像は特異4次曲線になることを証明した。この証明には,グレブナ基底を求める数式処理計算を援用した。さらに,の24個の特異点は像の特異4次曲線の2重接線の2つの接点のどちらかに忙写像されることも判明した.これらの結果は,パラメータ空間上の複雑な幾何対象もモジュライ空間では比較的簡明な幾何になることを示している.さらに,応用として,重複度2のワイエルシュトラス点を4個持つ曲線の1ーパラメータ族を構成した.この構成には,特異4次曲線のパラメータ表示が有効であった。
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