研究概要 |
今年度は以下の2つの問題について研究を行ってきたが,いずれも数学理論の整備を進めている段階であり,論文として発表するまでには至っていない。 母集団分布を特徴付ける母数θに対する固定幅の区間推定問題において,区間幅を小さくしていくときに逐次信頼区間が母数θを含む被覆確率は信頼度1-αに収束することが望ましいが,この収束速度について調べてきた。20年度にシミュレーションにより停止規則の性能を概ねつかみ,21年度にこれを数学理論で示そうとしたが,母数θが母平均以外の場合には推定量がi.i.d確率変数の和の形でなくなるため難しい。純逐次法のもとで,推定量を収束速度が評価可能ないくつかの部分に分解するところまで研究が進んでいる。これをもとに研究を継続している。 二標本問題における純逐次法による逐次点推定問題において,リスクの2次近似式を考察してきた。他大学の研究者との研究打ち合わせを通じて,位置母数の線形結合の形の母数に対しては,位置母数の差の推定の場合にとりわけリスクを小さくできるという知見を得た。これと似たようなことが二つの尺度母数の比の形の母数の逐次推定問題においてもいえるのか考察してきたが,母集団によって標本抽出の費用が異なることが障壁となった。研究を進めた結果,各母集団からの標本抽出費用の比に応じた大きさの標本を抽出するという新たな逐次手法を提案し,この手法に関する2次漸近リスク有効性を現在研究中である。
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