研究概要 |
正規分布と指数分布の位置母数に対する固定幅をもつ信頼区間を構成するという逐次推定問題について研究を行った。分散の値自体は未知であるが,その下限については既知であるという場合においては,二段階法を用いると,要求された信頼確率1-αを常に満たし,かっ,期待標本数と最適標本数の差が区間幅を小さくしていくときに漸近的に有界となる。前者を一致性,後者を2次漸近有効性と呼んでいる。まず,指数分布の場合について,2次漸近有効性よりも高次の漸近有効性を示した。これとともに,被覆確率に対する高次漸近展開式を求めた。これらの近似式は既存のものをより精密化した結果である。この研究成果については,2010年11月17日~19日に熊本大学で開催された科学研究費基盤研究(A)(研究代表者:谷口正信)によるシンポジウム「統計的推測方法の理論的展開とその応用」で磯貝英一,小林加奈の両氏と共同で講演発表した。次に,正規分布の場合について同様の問題に取り組み,3次漸近有効性と被覆確率の3次漸近展開式を求めた。これらの結果がどの程度有効なのかについて,シミュレーションを行ってそれらの近似精度が既存の結果よりも良いことを確認した。この結果については,2011年3月7日~9日に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「Statistical Information in Inference and Its Related Topics」(研究代表者:赤平昌文)において,磯貝英一,竹内大輔の両氏と共同で講演発表し,論文「Two-stage procedure having exact third-order properties for a normal mean」を発表した。
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