研究課題
基盤研究(C)
本研究課題の目的は、測度空間における最適化による分布の推定の理論と切除平面法に基づく計算手法の開発、また制御工学や統計科学に関わる諸問題への応用である。1950年代から60年代にかけて研究された電磁気学の問題の一つに導体の電荷の分布を決定する容量問題があり、60 年代後半には日本人数学者らにより線形計画の理論を用いて解の存在などの解析的性質が調べられた。この容量問題は数学的にはボレル測度の空間の上での不等式制約条件つき線形計画問題として定式化される。また同様にして、古典的なモーメント問題も測度空間上の等式制約条件つき線形計画問題として一般化され、さらに全測度を1 とする線形制約条件を付加すれば確率分布の推定問題となる。本研究においてはまず、これらを含む測度空間上の凸計画問題に対する実用的な計算手法として双方向切除平面法の開発を行い、大域的収束性の証明、暫定解の信頼性の定量的評価に加え、緩和問題の近似的な求解や低次元化など局所的収束性の改良等について考察することを目標とした。また応用面については、ゲーム理論やロバスト最適化また統計科学上の諸問題のみならず、ダイナミクスを内包する制御問題を対象とした。一般に測度は離散的な成分と絶対連続な成分の和であるが、それゆえ測度空間上の最適化問題は有限次元の最適化と関数空間における最適化を統一的に取り扱える可能性を秘めている。例えば、微分方程式系で支配されるシステムの最適制御において状態不等式制約条件がある場合、これに対する双対変数は絶対連続成分と跳躍成分の重ね合わせとなり、最適制御をその必要条件あるいは十分条件から解くことは数値的にであっても一般には困難なものとなる。本研究ではこのような問題に対して実用的な解法を提供することも目標の一つとした。
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X.Sun and X.Bai (eds.), Book of Abstracts of the 8^<th> International Conference on Optimization : Techniques and Applications
ページ: 98
Journal of Industrial and Management Optimization Vol.6
ページ: 15-28
最適化:モデリングとアルゴリズム24(統計数理研究所共同研究リポート267)