研究概要 |
数域半径作用素空間の視点から、作用素空間、ノルム空間(またその双対)を見ると、様々な問題を提出できるが、ここでの研究は、関数解析的アプローチに的をしぼり、いくつかのノルム空間を自然な条件下で数域半径作用素空間として具体的に表現することを目的としている.20年度は、有限次元可換C*-環の双対空間の具体的な表現(完全正値かつ完全等距離)の構成を目標としたが、その多様性を記述する具体的な表現と可換な作用素の解析が必要となった. 特に、表現と可換な作用素としてテープリッツ作用素を考察する中で、Rizky Rosjanuardiの学位論文で扱われた半直積から作られるテープリッツ環のUpwards-Looking Topologyの持つ位相的性質が、研究を進める推進力となることから、Rizkyとの共同研究を開始した.Preprintとして「Noteson the upwards-looking topology」をまとめたが、今後更なる発展が期待できる. 一方、表現の正値性を考察する上で新しい視点が必要となろうが、行列作用素システムと作用素空間で互いに扱うことができなかった性質(行列作用素システムでは、完全有界性.作用素空間では、完全正値性)を再考する必要が出てきた.70年代におけるChoi,Effrosの視点に立ち返り、具体的な作用素を用いたアプローチが必要となる.行列作用素システムと作用素空間を統合するこの方策は、Pisierによって提出された作用素空間的とルベルト空間の埋め込み問題にも直接ぐ接近する視点であることから、継続的に研究を推進している.
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