研究分担者 |
伊藤 雅明 広島大学, 工学研究院, 准教授 (10116535)
幡谷 泰史 山口大学, 理工学研究科, 助教 (20294621)
米谷 文男 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (10029340)
前川 博 電気通信大学, 情報理工学研究科, 教授 (90145459)
増本 誠 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50173761)
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研究概要 |
本研究課題の主たるテーマはリーマン面の接続(等角的埋め込み)の理論とポアズイユ流の研究の交差点にあるが,それぞれ独立な話題としても重要であり,実際歴史的には全く独立に研究されてきたものである.この課題では,さらにリーマン面の接続から生じた速度ベクトルをもつポアズイユ流を研究し,可能ならば両者のより強い関係を探ろうとするものである.特に(無限に長い細い)円管内を流れる粘性流を断面円の非ユークリッド的な構造に基づいて調べ続けてきた双曲的な円板に対しては既に前年までに結果を得たが,今年度はさらに球面距離を備えた場合について調べ,双曲的な場合と平行な議論に依って類似の結果を得ることができた.具体的には,与えられた速度ベクトルをもつ粘性係数を具体的に表示することが出来た.今年度はさらに,いわゆるバーゲン・ポアズイユの法則に相当するものの定式化を行うことに概ね成功した.古典的ハーゲシ・ポアズイユ法則は断面円がユークリッド的な円板の場合であるが,その対応物として双曲的あるいは球面的距離による断面円の場合のハーゲン・ポアズイユ法則を得た.ただし,これらの結果はなお1つの試みに過ぎず,より自然な一般化が可能かどうかも含めてなお検討の余地がある.また,非ユークリッド的なポアズイユ流をユークリッド的な場合(古典論)と類似に論じる問題は,かなり知見を集めることができはしたが,なお闇題を残している.他方で,リーマン面の接続の枠内においては,幾つか新しい基本的な事実を確認することができた.なお,分担者のうちで伊藤は流体力学的研究および数式処理による計算の遂行・確認,幡谷は流体数学研究,米谷と増本はリーマン面の等角写像論においてそれぞれ成果を得た.また前川はより実際的な粘性流体の現象の研究に貢献した.
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今後の研究の推進方策 |
ポアズイユ流に関して現在までに得られた結果をより詳しく検討して,リーマン面の接続の理論における貢献をすることが残された課題の最大のものである.特に,非ユークリッド的(双曲的あるいは球面的)な断面円についてのポアズイユ流を与える粘性流体の粘性係数を…流体力学的に,あるいは関数論的に,あるいは幾何学的に…意味するところを探りたいと考えている.より応用的または工学的な検討が必要かもしれない.
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