研究概要 |
私の研究は,作用素不等式またはノルム不等式で定義された非正規作用素族についての特徴づけであるが,本補助金による研究期間での主要な成果は以下の2点である. (1)スペクトラムの孤立点と対応するリース射影の研究では,(p,k)-クェーサイハイポノーマル作用素のスペクトラムの0以外の孤立点は固有値であり,対応するリース射影は直交射影となり,その像が固有空間に一致すること,この応用としてこの作用素のスペクトラムとワイル・スペクトラムの差集合が重複度有限の孤立固有値全体の集合に一致すること(ワイルの定理)を示した.また同様の結果がクェーサイクラスA(p, k)でも成立することを示した. (2)Bishop's property (β)やsingle valued extension property (SVEP)に関する研究としては, 作用素の(近似点)スペクトラムに関する性質(I),(I'),(II)を定義し,これらの性質を持つ作用素はBishop's property (β)とSVEPを持つこと,系としてparanormal operatorがこれらの性質を持つことを示した.この結果を,バーコフ・ジェームズの直交性という概念を取り入れることでhereditarily normaloidというさらに広い作用素族まで拡張した.
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