非線形方程式における解の有限時刻での爆発現象あるいは集中現象などの特異性の発現の背後に、自己相似性というスケール不変性がしばしば見られる。本研究では、非線形放物型偏微分方程式に対して、自己相似性という観点から解の特異性についての考察を行う。とくに解の爆発現象および特異な振る舞いをする解に対してスケール不変性を有効に利用することにより考察を行う。以下の問題について重点的に研究を行う。 (1)非線形熱方程式の自己相似解の解構造を解明すると共に、時間大域解の漸近挙動における自己相似解の役割、特異性をもつ解と自己相似解との関連を考察する。 (2)(1)に関連する非線形定常問題に対して、変分的アプローチおよび常微分的アプローチ等により、その解構造に関する研究を行う。 (3)非線形熱方程式における研究で得られた結果・手法を走化性方程式系およびその他の非線形問題に対して応用を行う。
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