本研究では、格子QCDにより共鳴状態の性質を調べる方法の確立を目的とし、それに向けρ中間子崩壊の研究を行った。数値計算は二つのクォーク質量(π中間子質量=410MeVと300MeV)のもとで行った。現実のクォーク質量(π中間子質量=140Me)での崩壊幅は、おのおのの計算結果で求めたρππ有効結合定数から評価した。計算結果は、130(18)MeVと152(28)MeVであり、実験値146MeVをよく再現している。これは、本研究での研究手法が、共鳴状態を研究する上で、信頼性のある、実行可能な方法であることを意味する。今後、この方法をρ中間子以外の多くの共鳴状態研究に応用することが期待される。
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