研究概要 |
オーバーラップフェルミオンの定式化を用いた格子QCDによりI=2のππ散乱長を研究した。有限体積効果の補正を行った後,得られた結果はカイラル摂動理論のNNLOの予言と矛盾しない。物理的なπ中間子質量へ外挿した散乱長は,実験値と一致する。NNLOのカイラル摂動展開の低エネルギー定数も求めた。また,最近KEKのBelle共同研究によって発見されたZ(4430)の構造についての知見を得ることを目的として,ウィルソンフェルミオンの定式化を用いた格子QCDによりD_1反D, D反D0, J/ψa_1,χ_<c1>ρ中間子散乱長の研究を行った。すべてのチャンネルで相互作用は引力的であった。ルシャーの公式を用いることにより,引力が, D_1反D, D反D0チャンネルでは束縛状態を作るが, J/ψa_1,χ_<c1>ρチャンネルでは束縛状態を作らないことを暫定的に結論した。
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