量子力学によって支配される粒子である「電子」は波としての性質を持ち、その周波数と波長(あるいは逆数である波数)の間には一定の関係(分散関係)がある。波の分散関係は一般にそれが伝わる媒質によって異なるが、物質中では電子の分散関係が「バンド構造」となって現れ、物質の性質に重要な影響を及ぼす。一方、物質中には多くの電子が存在し、お互いに反発力(相互作用)を及ぼしあいながら運動している。本研究課題においては、物質が持つ「特異なバンド構造」と電子間の「相互作用」が協力しあうことで生み出される興味深い電子の伝導現象について、その起源と、そこで得た知見をベースにした新機能性物質開発のための設計指針についての理論的研究を行った。
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