研究概要 |
本研究では,従来は人口が右肩上がりで,かつ都市部を想定して考えられてきた地域の環境システムについて,人口減少が顕著に進行する中小市町村において整備や維持管理を行っていく場合の手法と評価の方法を検討する.調査フィールドは鳥取県及びその周辺を中心とする.この地域は現実に全国平均を上回るペースで人口の減少が起こっており様々な問題を抱えており,研究を行う上での条件的には適している。平成20年度には人口減少が進行している小規模自治体における現状を調査し,課題の整理を行い,それをもとに評価やその指標の検討を行った. 汚水処理システムについては人口減少が進む中での整備の進捗に伴う財政状況及び住民の公平性に関する指標を開発した.それをもとにケーススタディにより具体的な検討を行った.ごみ処理その他の公共サービスを限られた予算の中でできるだけ住民のニーズに即した形で行うことが重要である.そこで予算配分案に対する住民生活への影響を評価する方法,分野間が相対的な重要性を明らかにする方法の確立をめざし,各行政サービス分野内のCS調査,サービス分野間のCS調査をもとに評価関数を導き総合的な評価を行い,小規模自治体の行財政計画の立案を支援できる手法を提案した.地域の廃棄物系のバイオマスを利活用することを目的とした研究を行った. GISを利用して小地域単位のバイオマス賦存量を推計する手法を開発した.とくに入手が容易な統計データとGISを利用することで,小規模な自治体でも簡便に検討が行えるように工夫している.廃棄物の発生削減,収拾を効率的にする観点から,一般廃棄物の収集の有料化を普遍的かつ現実的視点で評価する方法を検討した.そのために家計生産関数及び応用一般均衡モデルを取り入れた手法を開発した.
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