研究概要 |
20年度から継続して,人口減少,高齢化が進む地域における環境施設のマネジメントと評価のモデルの開発を行った. とくに,研究を進めながら地元自治体の関係者とも情報交換を行い,具体性と実用性に配慮した. 下水道や浄化槽による生活排水処理事業の経営は,とくに小規模自治体においては特別会計の独立採算は難しく,一般会計からの支援を受けており,これが一般会計を圧迫している事例が多い. そこで一般会計との関係を考慮しながら,生活排水処理事業の将来経営を検討する手法を開発した. 高齢化が進む中で,一般会計による行政サービスの質を維持しつつ,生活排水処理事業を進めていく経営の評価を行った. その際に住民側の便益も考慮できるような工夫を行った. さらに,公営企業の運営の効率性の評価方法について検討した. 浄化槽を利用して生活排水処理を行う場合には,その汚泥の処理が課題となる. 人口減少が進む中で,処理汚泥量が減少すると,処理施設の統合も視野に入れる必要があるが,一方で収集運搬距離の増大を招く. 将来の人口減少を考慮した長期的な浄化槽汚泥処理に関する検討を開始した. 簡易水道や集落排水処理施設は,地域の住民により維持管理が行われていることも多い. 人口減少,高齢化が進む中で,それを継続していくことが難しくなりつつある. このように,単一の集落のみで対応することが難しくなった種々の集落維持活動を,周辺と連携して広域で対応する体制の検討を行った. 以上,本研究では人口減少が進む中小規模の自治体における,環境施設を中心として,将来を見据えた運営の具体的検討方法について提案を行っており,今後の社会的要請にこたえうる成果を上げつつある.
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