実験靴として、ヒール高4.5cmのベルト付きセパレートパンプスで足囲サイズをC-EE程度の範囲で調整可能なものを選び、足長サイズ22.5cm、23cm、23.5cmの3足を用意した。9名の女性を対象として、靴底と足の間にインジェクションタイプのシリコンを入れることで、柔軟性はあるがクッション性はない個別対応アーチパッドを作成した。各人につき同じ靴にこのアーチパッドを装着した場合としない場合でどちらが好きか、その理由はなぜかについて詳細なインタビュー調査を行ない、アーチパッドがある方が好きな場合と、ない方が好きな場合について、アーチパッドの形状に対する印象、足との接触のしかた、それに対する感覚、好き嫌いの判断の間の因果関係を示す樹状図を作成した。 アーチパッドありとなしの2条件で歩行時の靴内足底圧分布を計測し、各人各条件で20歩分のデータを取得した。足底を指部、前足部、中足部、後足部の4部位に分け。ピーク圧の2条件間の差を検定したが、有意差は認められなかった。F-scanは一定以上の圧がかからないと接触を検出しないので、靴底に色を塗り、足裏を湿らせて実験靴を履いた歩行をさせ、靴をぬがせて立位状態で足底方向から足裏ビデオ撮影することで、足に移った色を使って接触面積を可視化した。インタビュー調査で得られた履き心地の評価項目は、歩行中のピーク圧よりも接触面積と関連が強いことがわかった。 バランスボードを試作した。計測条件を検討し、左右方向のバランスを1分間計測することにした。また、足と靴にマーカをつけて運動計測装置(Vicon)を用いて実験靴を履いた歩行運動を計測し、ヒール設置時の安定性が計測できるかどうかを検討した。日常観察できる着地時のヒールのぐらつきは観察できなかったので、来年度はよりヒールの高い実験靴を使い、靴と足の相対運動とヒールのぐらつきを検討することにした。
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