研究概要 |
メチロトローフ細菌Methylobacterium sp.MAFF211642のメタノール脱水素酵素(MDH)がメタノール含有培地に30μM Laを添加するとMDH活性が著しく上昇することを見い出し,LaによりMDHが誘導されることを認めた。このLa添加によるMDH活性の誘導はMethylobacterium属細菌に普遍的に認められた。また,メタノール酸化能力を有していることが指摘されているBradyrhizobium属細菌であるBradyrhizobium sp.MAFF211645のMDHがCeにより誘導されることを認めた。LaやCeはメチロトローフ細菌のMDHを誘導することを明らかにした。La及びCeにより誘導された両MDHの分子構造はともにホモ二量体で、従前より研究されてきたMethylobacterium属細菌のMDHの構造(ヘテロ四量体)と異なっていた。さらにMethylobacterium属細菌のLa誘導MDHがxoxF遺伝子の発現産物であること,Bradyrhizobium sp.MAFF211645のMDHがxoxF遺伝子と同義語であるmxaF"遺伝子産物であることを実証し,mxaF遺伝子産物であるCa依存性MDHと異なった遺伝子によりコードされていることを明らかにした。La誘導MDHに関するこれらの知見は生理生化学的,分子生物学的にもっとも研究が進んでいるM.extorquens AM1株においても認められ,LaやCeが細菌の休眠遺伝子を覚醒させる作用があることを指摘した。
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