抗炎症性と密接に関連する細胞レベルの実験系であるNO産生抑制およびO_2産生抑制試験系を用いて植物性食素材(福井県特産農作物を中心に約20種)のスクリーニング試験を実施した。その結果、ナツメをはじめとする11種を注目すべき種として選択できた。次いで、これら高活性の素材より順次有効成分の精製・単離を試み、これまで9種の化合物を同定することに成功した。 一方、近年、食素材由来のNO産生抑制成分に関する研究展開は活発である。なかでも、普遍的抗酸化性食素材成分として知られるフラボノイドへの関心は高い。本研究では、そこで、酸化ストレスをも含む各種ストレスへの応答機構の一つであるMAPK情報伝達経路に着目し、抗炎症性フラボノイド関連化合物の本経路に与える影響について解析し、フラバノール型、フラボン・フラバノン・フラバノン型、およびイソフラボン・カルコン型化合物群にはそれぞれ異なった作用ポイントがあることを見いだした。現在、クマリン型やテルペノイド型化合物を含め、より詳細な活性発現機構を解析中である。
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