研究概要 |
【目的】本年度は、各種イオン交換体を用いて、乾岩海苔中で熱に安定なAMPデアミナーゼ(AMPdase)の精製法の検討を行った。 【方法】細断した乾岩海苔にトリス-酢酸緩衝液を加え、磨砕・抽出した。抽出液をろ過、10,000rpmで遠心分離し、粗酵素液を得た。粗酵素液を70%硫安塩析に付し、透析、遠心分離後、各種イオンクロマトグラフィーに供し、AMPdaseの単離・精製を試みた。まず、弱陰イオン交換体であるTOYOPEARL DEAE-650および強陰イオン交換体であるTOYOPEARL SuperQ-650を用いてAMPdaseの精製を検討した。次いで、強陽イオン交換体であるTOYOPEARLSP-550を用いてAMPdaseの精製を検討した。AMPdaseの活性は前報のHPLCシステムを用いて検討した。活性の認められた画分については、SDS-PAGE電気泳動を行った。 【結果】陽イオン交換体であるTOYOPEARL SP-550には、AMPdaseは全く吸着せず、非吸着画分にのみ活性が認められた。AMPdaseの精製には陽イオン交換体を用いるのが定法であり、乾岩海苔に含まれるAMPdaseは新規なタンパク質であることが推測された。陰イオン交換体にも吸着力は弱かったが、強陰イオン交換体であるTOYOPEARL SuperQ-650でNaCl濃度0.3M付近のピークにAMPdaseの活性が認められた。この画分をSDS-PAGE電気泳動に付したところ、ほぼ単一なバンドが認められ、AMPdaseの精製には強陰イオン交換体が有効であることが判明した。今後、最適なバッファー等の検討を行い、乾岩海苔中のAMPdaseを精製し、乾岩海苔中でAMPdaseの熱安定化機構を解明する予定である。
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