研究課題/領域番号 |
20590590
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
玉置 知子 (橋本 知子) 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
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研究分担者 |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
中野 孝司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10155781)
福岡 和也 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80305721)
森永 伴法 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10351818)
吉川 良恵 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10566673)
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キーワード | 悪性中皮腫 / ゲノム解析 / アレイCGH / 組織型特異性 / CDKN2A・2B / セマフォリン / がん抑制遺伝子 |
研究概要 |
兵庫医科大学を受診した悪性中皮腫の患者さんから提供を受けた血液より、正常ゲノムのゲノム多型に特徴があるかをアレイCGHで検索した。患者検体のほうがランダムにホモ接合部分が長く並ぶ傾向が見られたが症例数が限られ有意とは結論できなかった。このようなホモ接合については他のがんでの報告があるが、悪性中皮腫には報告がない。また1人が発症、1人が発症していない同胞対が最もinformativeであるが、症例数が極めて限られ有意な結果とはならず、患者さんを全国的に登録して検索する必要性が示された。 一方で、兵庫医科大学に受診された悪性中皮腫の患者さんの切除腫瘍もしくは胸水から得られた培養悪性中皮腫細胞と、細胞バンクから得られた悪性中皮腫細胞株を用いて、アレイCGHを行った。これまで9p(CDKN2A・2B領域)と22q(NF2領域)欠損の報告が多数あったが検出率の報告はなく、前者では両アレルのホモ欠損が100%に、後者ではホモと片アレルのヘテロ欠損が約60%の細胞にみとめた。前者の欠損の共通領域は35kbであり、既存のFISHプローブは300kb程度のため、欠損領域が大きくなければFISHで検出ができないことが分かった。これ以外、ホモもしくはヘテロの3p欠損が見出された。共通欠損領域は200kb以下であり、複数の遺伝子が含まれていた。以上の3ヶ所の欠損については、バンク株と兵庫医大細胞で共通していた。3p欠損領域には、がん抑制遺伝子としての機能も報告されているBAP1とセマフォリン遺伝子ファミリーの1つがあり、後者の欠損は細胞株でも兵庫医大細胞でもepithelioid型の90%以上に認められた。このことより、9p欠損は悪性中皮腫の診断マーカーとなること、さらに3pにあるセマフォリンファミリー欠損は組織型のマーカーとなること、およびセマフォリンシグナル系の再活性化がepithelioid型の治療戦略になる可能性が示された。
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