研究課題
基盤研究(C)
兵庫医科大学で採取した悪性中皮腫(以下中皮腫)細胞・組織のゲノムを解析し、1p、3p21、4q、9p21、16p13、22qの欠損を見いだした。9p21ではCDKN2A・2B(p15-16)が全ての中皮腫細胞で両アレル欠損、22qではNF2遺伝子が80%の中皮腫細胞で欠損していた。新規のヘテロ欠損領域として3p21.1-21.31を見出し、上皮型に特異的であった。この領域にあるセマフォリン遺伝子群は発現低下し、アンタゴニストのVEGFA発現は増加し、VEGF優位の状況であることが示された。さらに上皮型中皮腫のほぼ全例(15/16)に、この領域のBAP1遺伝子の両アレル欠損もしくは1アレル欠損+/-他アレルの変異を見出し、免疫染色にてもBAP1(-)を確認した。また患者さんの正常ゲノム検索の結果、BAP1変異は体細胞レベルの変異であった。以上より、CDKN2A・2B欠損は全ての中皮腫の、BAP1欠損・変異は上皮型中皮腫の分子マーカーとなること、特にBAP1シグナル系の再活性化が上皮型中皮腫の治療の分子標的となる可能性が示された。
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Cancer Sci
Int J Oncol
巻: 39(6) ページ: 1365-74