研究課題
我々は昨年度、Nesfatin-1及びNesfatin-1の活性中心であるM30を添加するとマウス神経芽細胞腫由来の細胞(MNB)内のCRE binding protein(CREB)のリン酸化が増加するというデータを取得した。その結果、MNB細胞膜上にNesfatin-1特異的受容体が存在することが示唆された。これに基づき、本年度我々はMNB細胞膜を用いてNesfatin-1特異的受容体の探索を実施した。^<125>I-Nesfatin-1を用いたラジオレセプターアッセイをマウス視床下部膜画分及びMNB細胞膜画分を用いて実施した。その結果IC50はマウス視床下部膜画分、MNB細胞膜画分ともに約30nMで、Nesfatin-1特異的受容体は視床下部及びMNB細胞膜画分に存在することが分かった。さらにNesfatin-1投与群と非投与群のマウスの視床下部ならびに、Nesfatin-1添加群と非添加群のMNB細胞のトータルRNAを用いてDNAマイクロアレイを実施した。この結果、いくつかのG蛋白共役型受容体遺伝子発現の著明な変化が判明した。またMNB細胞膜画分とGST及びGST-Nesfatin-1融合蛋白を架橋した上で、SDS-PAGEに展開し、GST-Nesfatin-1に特異的なバンドを質量分析で解析し、やはりあるG蛋白共役型受容体蛋白を同定した。以上からNesfatin-1特異的受容体は視床下部及びMNB細胞膜画分に存在することが解明された。またNesfatin-1特異的受容体はG蛋白共役型受容体であることが強く示唆された。現在これらのDNAマイクロアレイで発現に著明な変化を見せたG蛋白共役型受容体遺伝子を解析中である。
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