研究課題
我々は昨年度までに、Nesfatin-1及びNesfatin-1の活性中心であるM30を添加するとマウス神経芽細胞腫由来の細胞(MNB)内のcAMP応答配列(CRE)binding protein(CREB)のリン酸化が増加しかつNesfatin-1特異的受容体はマウス視床下部及びMNB細胞膜画分に存在するという結果を得た。さらにNesfatin-1特異的受容体はG蛋白共役型受容体(GPCR)であることが示唆された。本年度はMNB細胞を用いたDNAマイクロアレイでGPCR遺伝子を解析し、選別したorphan GPCRの中からNesfatin-1受容体であるマウスGPCR-nesfatin-1(GPCRn)を同定した。GPCRn遺伝子を導入したCHO細胞株では、Nesfatin-1用量依存性に細胞内cAMPの増加が認められた。またβ arrestin assayではNesfatin-1とGPCRnに特異的結合が認められた。さらに遺伝子相同組み替え法を用いてGPCRnノックアウト(KO)マウスを作製した。GPCRnKOマウスの視床下部の細胞膜画分を用いたラジオレセプターアッセイでは、野生型マウスと比較してGPCRnKOマウスではNesfatin-1の視床下部細胞膜への結合が著明に減弱することが判明した。またMNB細胞を使って細胞内シグナル伝達を検討したが、MNB細胞にMC4RのSmall interfering RNAを導入し同遺伝子をノックダウンするもしくは、MNB細胞をMC4Rの特異的アンタゴニストであるSHU9119で前処理するとNesfatin-1及びM30による細胞内CREBのリン酸化は消失した。Nesfatin-1の細胞内シグナル伝達機構にMC4R自体及びMC4Rを介したシグナル伝達経路が不可欠であることが判明した。
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